何処でも見かける自動販売機は、硬貨だけでなく紙幣も扱えます。その原理とは・・・ |
偽造防止策として、その鍵の役割をしている特殊印刷手法ですが、これを利用すると機械による紙幣の選別が可能となります。さらに突き進むことで、真偽判定の要素として応用が期待できます。 |
金種 |
「紙幣のABC(基礎知識)」でご紹介しましたが紙幣の縦横の長さには規則性があります。縦は76mmで固定、横の長さは金種毎で変わります。この横の長さを測定することで金種を選別することができます。 昭和59年11月に発行された夏目漱石、新渡戸稲造、福沢諭吉のシリーズD券の横幅は、規則正しく5mmの差がありましたが、2000年7月19日に発行された二千円の横幅は154mm。千円札との差は4mmで、五千円札との差が1mmしかありません。この1mmの差だけで金種を選別することは難しくなりました。 平成16年11月に発行された野口英世、樋口一葉、福沢諭吉のシリーズE券は、この二千円札と五千円札の接近した差を広げるため五千円札の長さを1mm長くして156mmとしました。 |
シリーズ | ||
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E券にはさらに新しい特徴があります(すき入れバーパターン)。紙幣を光に透かしてみると右側に縦の線が現れます。千円札/1本、五千円札/2本、壱万円札/3本。一見すると最先端技術による偽造防止策と思えますが事実は業界への「救いの手」なのかもしれません。 お札の偽造防止策は微細な模様と深い色づかいで、それそのものが芸術にも思え世界に誇れる紙幣作りと言えます。しかし「すき入れバーパターン」だけはいただけません。そもそも何の為に追加されたのでしょうか。偽造防止であれば、既に紙幣中央へ肖像のすき入れがあります。しかも金種で増える縦線の数、あからさまです。むしろ金種を判定する以外にこの縦線の持つ意味は無いと思われます。 二千円札(二千円問題)が無計画であった事を裏付ける「すき入れバーパターン」です。 透過型光センサーを使い、紙幣の中央ラインをセンスすれば縦棒の数で金種判定が可能です。 縦棒の数(すき入れバーパターン)と紙幣の横の長さ(上記表参照)と図柄(下記参照)を併用することで難易度のあるD券とE券上の金種判定ができるようになりました。 ![]() |
図柄 |
光りセンサーは、その種類により色や光の強さを電気信号として得る事ができます。紙幣を移動させ、一定位置のラインで図柄を見ると金種毎の特徴を見ることができます。 |
磁気反応 |
日本の紙幣はインキに磁性体を混ぜています。磁気ヘッドを用いると、紙幣のインキに含まれる磁性体に反応し電気信号として感知することができます。通常の印刷物には磁性体は含まれていませんので、仮に偽物を作っても磁気センサーで磁性体の有無をチェックすれば偽札を見つけることもできます。 |
<メモ> |
自動販売機や両替機で利用されている紙幣識別は、入れられた紙幣がいくらであるかの金種判定と、真偽判定を兼ね備えた便利な機械で現在の主流になっています。 識別機の構造はここをみてください。 |